第8回 起業時や競合が強い時に選ぶべき差別化・ポジショニング戦略

今回は、差別化戦略の話です。起業したてのスタートアップ時はもちろん、競合が強くて厳しい時に取るべき差別化・ポジショニング戦略について考えていきます。
目次
差別化って何?
まず初めに、「差別化とは何か?」について確認しておきます。
差別化とは、言葉の通り「差をつける」ということです。
誰と差をつけるのかと言えば、競合他社ですね。
なぜ差をつけないといけないのかというと、選ばれやすくするためです。
誰から選ばれやすくするのかというと、お客さんです。
つまり、差別化戦略とは、顧客に対して「うちの商品やサービスは●●ですよ」といった感じで、競合との違いを明確にして、より選んでもらいやすくするために行う活動方針のことです。
なぜ、差別化戦略を立てる必要があるかというと、似たような商品やサービスを提供している人が多くいる場合、顧客の取り合いが起こるからです。
特に、消費者より提供者の方が多いような今の経済環境だと、必ずと言っていいほど、顧客争奪戦が起こります。
競争が起こるわけですから、自分が有利な立場に立つために、どうやればいいかを考えることになり、その時の作戦の基本方針が差別化戦略となります。
差別化戦略は3種類しかない
では差別化戦略の種類を紹介します。
ここで扱う3つの差別化戦略は、私が師事している戦略コンサルタントの佐藤義典先生が、ご自身のサイトや書籍の中で紹介されていたものです。
詳しいことは、ぜひ先生の書籍を読んでいただくとして、簡単に紹介だけしておきます。
1つ目の「手軽軸」は、「競合よりも手軽に買えるよ」という作戦を用いるという方針です。
手軽に買えるようにするために、最も簡単なのが「安くする」ことです。
2つ目の「商品軸」は、「競合よりも商品やサービスのクオリティーが高いですよ」というアピールをする、という方針です。
例えば競合が、業界No1、最高品質などの触れ込みをしている場合は、商品軸での差別化戦略を取っていると考えられます。
3つ目の「密着軸」は、「お客さんに寄り添い、痒い所に手が届くような対応をします」ということをアピールするという方針です。
細かくカスタマイズできるようなオーダーメイドの商品やサービスがこれにあたります。
スタートアップ時の差別化は1つだけ?
あくまで一般的な話ですが、上記3つの差別化戦略の中で、起業当初や競合がかなり強い場合は、どの戦略が望ましいでしょう?
実は、1つしか選びようがない、というのが私の主張です。

結論は「密着軸」での差別化です。
起業当初は、販売実績もなく、取引事例も皆無で、そもそも商品・サービスが優れていると主張しても、その根拠を示しにくいはずです。
スタートアップ時に商品軸、つまり「高品質ですよ」といった差別化ができるとしたら、特許を取れるような独自のノウハウ・技術を使っているような場合ですね。
また、起業当初に手軽軸に頼ると、のちのち厳しくなることが予想されます。
多くの場合「競合よりも低価格」をウリにすることですから、薄利多売になります。
薄利多売ということは、より多くのお客さんに提供する必要があるため、それなりの規模感で集客やプロモーションを行います。
するとその分だけコストがかかります。
実は、低価格戦略は、業界シェアが1位の企業以外に取ってはいけない戦略と言われています。
低価格を突き詰めていくと、原価割れギリギリになります。
それでも競合に負けないように、今よりも低価格にすると、自分の商品やサービスを買ってもらっても赤字になるので、長続きしません。
結果、消去法的に「密着軸」の差別化戦略を取らざるを得ないというわけです。
差別化戦略を実施するために何をする?
では、差別化戦略を実施するためのコツを紹介します。
まず、次にあげる質問の答え書きだしてください。
【差別化する時に考えること】
- 誰の役に立とうと思っているのか?
- どうやって役に立とうと思っているのか?
- なぜ役に立ちたい思っているのか?
【差別化戦略を言語化】
次に、先の質問の答えをまとめて、一つのメッセージとして発信できるように文章にします。
これがコピーライティングの基本です。
キャッチフレーズ、キャッチコピーは、こういった作り方が推奨されていますし、私もやっています。
差別的ができた時のお客さんの心の中は?
差別化が成功したときは、自分を選んでもらえることになります。
つまり、顧客獲得ができるわけです。
その時、お客さんにどんな変化があるのかを見逃さないことが、マーケティングでは特に重要と言われています。
人が商品やサービスを買うときは、必ずその人は納得してからお金を払います。
納得できないモノは、買われることはありません。
実はマーケティングの本質は、顧客に納得してもらうためにやるべきことを、段取り良く進めることです。
そして密着軸の差別化戦略を取っている我々は、顧客に次のように思ってもらうことが重要です。
それは「その商品やサービスが素晴らしい」よりも、「あなたの想い、考え方、姿勢、熱意に共感できる」です。
言ってみれば自分を買ってもらうわけです。
営業マンへの訓示としてよくあげられる、「商品を売るな、自分を売れ!」は、密着軸の差別化戦略を実行することを表しています。
起業当初に行う差別化戦略の姿
お客さんの悩みや課題解決だけを考えて、それを実行するのです。
実績もなく、ビジネスを始めたばかりの自分から、商品やサービスを購入してもらうのですから、感謝の気持ちを持って、誠心誠意尽くすということです。
「あなたから買ってよかった」
この言葉を頂けるようになることが、とても重要だと思います。
まとめ
今回は、起業当初のスタートアップ時の差別化戦略を解説しました。
世の中には差別化戦略やポジショニング戦略など、ノウハウやフレームワークがあふれています。
でも大事なことは、とてもシンプルです。
今の自分ができる方法を全力で行う。
これに尽きると思います。
着実に、お客さんから喜んでもらえるように、一緒に成長していきたいですね。
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投稿者プロフィール

- 【売れる】を科学する起業・新規事業プロデューサー
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40代で脱サラして起業。独立後すぐに月商100万円を突破するも、トラブルが発生し収入ゼロに。
その時に経験した「売り上げゼロ」「顧客ゼロ」の不安を解消しよと、様々な起業セミナー・高額講座に通うも全く成果が出なかった。
なぜ成果が出なかったのかを徹底的に分析した結果を起業したいけれど何をしていいか分からないというサラリーマンに向けて発信するのが使命と考えている。
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